流行り言葉

流行り言葉というものがある。別に世間で流行っている必要はなくて、自分の中で流行してしまう言葉。
これってなんとも厄介なもので、例えば何か一つ、単語が流行ってしまうと、それ以外の表現がなかなか見つからなくなってしまうのだ。…それはもちろん、ぼくが言葉を知らないからなんだけど。

今、ぼくの中で流行ってしまっている言葉が「逡巡」。たいした言葉じゃないんだけど、どうもここんとこ、この単語を使うことが多いことに気が付いた。
気になってしまうと厄介だ。ずばり「逡巡」という情況ではないにしても、それに近い情況だと、「逡巡」としか頭に浮かばなくなってしまう。「思い悩む」とか「迷う」とか「思案する」とかではぴんと来ないのだ。

だいたいにして言い回しは多く知っていた方が良いし、たくさんの言葉を使えた方が良い。…うん?とここまで書いて思ったけど、ちょっと待てよ。
話が飛ぶようだけど、プロレスってそうではない。たくさんの技が使えたり、器用なことが売りの選手もいるけれど、本当のスター選手っていうのは、いくつかの決まりきった技だけで客を沸かせて、ハラハラさせて、スカーっとさせて、拍手なりブーイングなりを浴びるんだ。今でも活躍しているリック・フレアーなんて、チョップと目潰しと四の字固め(フィギュアフォーレグロック)しか使わないで、大々的に客を沸かす。
色んな技を器用に使うタイプの選手って言うのは、技の多彩さに目を奪われることはあっても、そういうのは長くは続かない。逆に、使いどころと、それに至る経緯を臨機応変に組み立てられれば、少ない技が多くの感動に化ける。話すこともエンターテインメントの一つだと思えば、プロレスと同じ方法論は成立するはずだ。

まぁ、知ってはいるけど無理には使わないで、必要なときにはきちんと使いこなすっていうのが、一番いいのは分かってるんだけどね。